料理人の独り言 ❘ 下積み編〜油の魔術師〜

料理人の独り言

下積み時代。

私のいた厨房の隣は、中国料理の厨房でした。

まぁ、よく見ていました。

ちなみに、味見も……。

ウシシ(笑)。

当時は人手が足りなかったこともあって、

「おい、エビチリ作っといて」

なんて言われることもありました。

今思えば、結構すごいことですよね(笑)。

そんなわけで、私のレシピ帳には中国料理のレシピもそれなりに残っています。

私は一応、洋食です(笑)。

—そんな私ですが、ある時、中国料理の先輩に言われたことがあります。

「中国料理をやっていると、油の魔術師になれるぞ」

なるほど。

確かに中国料理って、洋食よりも揚げ物が多い。

揚げ物については、その先輩に教わったようなものです。

……たぶん(笑)。

揚げ物って、単純に

「油の温度を何℃にする」

というだけじゃないんですよね。

温度を確認するときは、菜箸を使うことが多い。

油に入れた時の泡の出方を見る。

そして、揚げているものの動き。

油の音。

菜箸で持ち上げた時の、「ブルルッ」という振動。

いろいろなところから、状態が分かります。

まぁ、指を入れて確認する人もいましたけど……。

皆さん、絶対にマネしないでくださいね(笑)。

—そして、何か別の仕事をしながら揚げ物をしている時。

一番分かりやすいのが、意外と「音」。

揚げている音を聞きながら仕事をしていて、

「おっ、音が変わった」

となる。

「そろそろ揚がったな」

と、見に行く。

料理人をやっていると、こういう感覚が身についてくるんです。

たぶん、一般の方が思っている以上に、料理人は油の音を聞いています(笑)。

—さすがに「油の魔術師」なんて言う人に教わっただけあって、私も魔術師……に近づいたはず。

……たぶん(笑)。

ところが。

ある日、天ぷらを揚げていて思いました。

「あれ?」

天ぷらって、意外とお蕎麦屋さんや和食のお店みたいに、サクサク感を長く維持できない。……。

……ということは。

まだ「油の魔術師」にはなれていなかったということか(笑)。

魔術師への道は、まだまだ遠い。

精進します!!

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