山の上の経営録 ❘ ⑯〜嫁を脅した男〜

ペンション経営

宿泊は満室。

そして次の日は、ランチでコース料理の団体様。

さらに夜も、宿泊のお客様がいらっしゃる。

この日のランチは、いつも皆さんで来てくれる近所のお米農家さん達です。

貸し切りだし、お酒も飲みたい。

「迎えに来てよ〜!」

近所だから、もちろんOK。

「何時に行くね〜!」

そんな感じで話は進んでいきます。

……が。

厨房の中は、それどころではありません。

宿泊のお客様の片付けが、まだ終わっていない。

夜の宿泊の準備も、ある程度しておかないといけない。

そして何より……

料理が全然間に合っていない。

まだ朝食の食器すら、洗えていません。

ヤバイ……。

そんな状況の中、

「今から迎えに行ってくるね〜!」

と、嫁。

おい。

ちょっと待て〜い!!

「前菜が間に合わないから、少し時間を稼いでくれ〜!」

そうしないと、どうなるかわかってるか〜?今、出せるものは枝豆しかないぞ!

お客様が来た瞬間から、

「はい、枝豆です。」

そして、しばらくしても、

「はい、まだ枝豆です。」

さらに時間が経っても、

「……枝豆です。」

ということになるぞ!

嫁

「……」

そりゃ困るね!

とりあえず、時間だから行ってくるね!

たのむよ〜!

行ってらっしゃい!

よろしくお願いします。

嫁を送り出しました。

そして……

15分後。

「予定より早くなっちゃった!へへへ!」

はやすぎるやろ〜〜!!

へへへ、ちゃうねん!

なんでやねん!!

しかし、そこはさすが嫁。

お客様からお酒の注文を取ったり、話をしたりしている間に……

なんとか前菜が完成!

セーフ。

部屋からは、楽しそうな笑い声も聞こえてきます。

もしかしたら、嫁が会話でつないでくれたのかもしれません。

その辺の真相は、聞いてません。(笑)

でも、たぶん何とかしてくれたのでしょう。

そして思った。

全然、私の「枝豆の脅し」に屈しない。

ということは……

脅す意味、なかったな。(笑)

まあ、脅すと言っても、もちろん本気で脅したわけではありません。

「前菜が間に合わないから、お願いだから時間を稼いでくれ〜!」

という、厨房からの切実なお願いです。(笑)

それでも、こういう時に動いてくれるのは、本当にありがたい。

一人でやっているように見えても、実際には一人では回らない。

料理を作る人。

お客様を迎えに行く人。

お酒の注文を取る人。

お客様と会話をする人。

そして、間に合わない料理を何とか間に合わせる人。

……最後は、ほとんど自分ですが。(笑)

まあ、とにかく。

今回も助けてもらいました。

感謝します。

※今日の前菜は、こんな感じでした。

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