山の上の経営録|過去の自分に言ってやりたいこと① 〜仕入れ編〜

ペンション経営

山の上で商売を始めて、大変だったことは何ですか?

そう聞かれたら、私は迷わずこう答えます。

「仕入れです。」

料理でも、接客でもありません。

「仕入れ」です。

山の上で商売をしようと思っている人がいたら、ぜひ一度考えてみてほしいことがあります。

開業前、営業さんがこんなふうに来てくれました。

「この商品、使いませんか?」

「ご注文いただければ、その都度配達しますよ。」

「本当ですか?助かります!お願いします!」

そして、さっそく注文。

本当に届けてくれました。

「これなら安心だ。」

そう思ったのも束の間。

翌日、運送会社の方から一言。

「申し訳ありません。もうトラックでは怖くて登れません。」

……ですよね(笑)。

2トントラックでも、山道は大変です。

しかも配達先は、山の上の一軒だけ。

私だったら「町なかの狭い商店街より運転しやすそう」と思ってしまうのですが、配送会社からすれば話は別。

売り上げと時間、そしてコストを考えれば当然です。

だから思わず心の中で叫びました。

「じゃあ営業に来ないでくれ〜!(笑)」

もちろん冗談です。

営業さんも悪くありません。

結局、それからは全部自分で回ることになりました。

八百屋へ行って。

肉屋へ行って。

魚屋へ行って。

酒屋へ行って。

欲しい調味料はネットで注文。

「うわっ、送料高っ!」

宿泊施設なので、薬局でシャンプーやリンス、ボディソープ、子ども用の弱酸性ソープまで買いに行く。

クリーニング屋さんで使い終わったシーツや浴衣を返して、新しいものを受け取る。

気が付けば夕方。

「あっ、あれ買い忘れた……。」

そんな日は、本当に焦ります。

「どうしよう。」

「仕込み、いつやる?」

結局、夜中に厨房へ。

そして翌朝は朝食の準備。

こんな毎日が当たり前になっていました。

もちろん、予約が入らない日はめちゃくちゃゆっくり寝られます。

少し寂しいですが…、

それも山の上の宿の日常です。

そして、もう一つ。

これは本当に事業計画では見落としていました。

ガソリン代です。

山を毎日のように上り下りするので、燃料は想像以上に減ります。

タイヤも驚くほど早く減る。

一年もったことがありません。

車屋さんに驚かれます。

もうタイヤすり減ってるじゃないですか。

しかも車は二台。

当時の私は、売り上げや利益ばかり考えていました。

でも、毎日の仕入れにかかる時間。

山を何往復するのか。

ガソリン代やタイヤ代。

そんな現実は、一行も書いていませんでした。

だから今なら、過去の自分へこう言います。

「そこ、一番大事だから。」

「思いつけ〜!しっかりしろ〜!(笑)」

やってみないと分からないことは、本当にたくさんあります。

だからこの「山の上の経営録」では、パンフレットには載らない山の上のリアルを、これからも少しずつ書いていこうと思います。

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