山の上の経営録 ❘ ⑨〜黒い網戸〜

ペンション経営

ある日、友達がペンションにやってきた。

「昨日TVでやってたんだけどさ、黒い網戸にすると景色が綺麗に見えるみたいだよ!」

それは良いことを聞いた!

ここは山の上のペンション。

なんといっても、景色が売りだ。

「よし、替えてみよう!」

まずは、1枚だけ。

早速、黒い網戸を買ってきて取り替えてみる。

そして、窓の外を見てみると……

「うわ〜、全然違うじゃん!」

本当に透き通るように見える。

これはいい!

「よし、全部変えちゃおう!」

しかし、ここで問題が。

ペンションの網戸は20枚以上ある。

全部替えるとなると、お金もかかる。

そして、何より……

面倒くさい(笑)。

でも、せっかく景色が綺麗に見えるようになるんだから、ここは重い腰を上げるか〜。

ということで、せっせと交換。

そして……

よし!全部取り替え完了!

これでお客様にも、さらに綺麗な景色を楽しんでもらえるぞ。

お客様をお出迎えしますか〜!

「わぁ〜、綺麗!」

よしよし。

狙い通りだ。

……と思った数時間後。

「すいませーん。子供が網戸破いちゃって……」

「えっ……」

替えたばかりなのに……。

でも、子供がやったことだ。

しょうがない。

「大丈夫ですよ〜。張り替えますね!」

ということで、張り替え。

よし、完了。

これで大丈夫。

……と思った次の日。

「すいませーん」

「はい?」

「子供が網戸破いちゃって……」

「…………え?」

どういうこと?

さすがにおかしい。

いくらなんでも、こんなに続くものなのか?

そこで、ようやく原因が分かった。

どうやら……

黒い網戸は、網戸そのものが見えにくいらしい。

景色が綺麗に見える。

それは間違いない。

でも、その分、網戸があることに気づきにくい。

子供からすると、

「ここ、開いてる!」

と思って、そのまま……

ドーン!

そりゃ破れるわ(笑)。

結局、その後も同じことが繰り返される。

張り替えては破れ。

張り替えては破れ。

さすがに危ない。

ということで……

普通の網戸に戻しました(笑)。

あれだけ頑張って、20枚以上交換したのに。結局、元に戻る。

経営って、こういうこともあるんだな〜。

黒い網戸。

景色は、本当に最高によく見える。

でも、

「綺麗に見えるから、どこにでも付ければいい」

というわけではなかった。

やっぱり、

何事も使う場所を考えることが大事。

……ということを、身をもって学びました。

トホホ……。

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